2024.10.15 | 組版&デザインブログ
モリサワさんから写研さんの書体がリリースされましたね。
30年くらい前になるんですが、写植を習いに行ったことがありました。
「写研の写植教室」というもので、写植の知識を一通り学ぶというものでした。
確か2週間くらい、大塚にある写研さんに通ったと記憶してます。
簡単なカリキュラムの実作業でその仕組みを理解することができる、とても意義のある教室でした。
写植は、文字盤(真っ黒の背景に、綺麗な文字が透明に描かれているガラス板)から必要な文字を拾って、
文字盤を透過した光で、印画紙に文字を焼き付けるしくみですが、
まさに写真で文字を植え付ける=写真植字=写植とはいいネーミングですね。
その写植教室にはいろいろな人が参加していて、
年齢も幅広く、記憶では30人くらいのひとが一緒に習っていました。
中でも思い出すのが、20歳前くらいのイケメンの青年。なぜか気の合ういいヤツでした。
その彼は、アルバイト先の居酒屋によく来る写植会社の女社長に気に入られ、
その社長に「勉強してくれば、うちで雇ってあげる」と言われたそうです。
「写植ってなんかよくわからないけど、学費も出してくれるって言われたから来てる」とのことでした。
写研の写植見本帳(1978年発行)
当時、写植はすでに電算写植が使われることが多かったように思います。
一文字ずつ文字を拾う手動写植機を使うところは減りつつあったのかもしれませんが、
まだMacの台頭前で写植の仕事もたくさんあったんだと思うのです。
おかげで写研さんの書体に馴染みがあったので、
最初にMacで版下を作ったときは、あんまりキレイじゃないなぁと思ったものですが、
今となっては本当に優れた書体がたくさんあるようになりましたね。
そんな今の時代に、写研さんの書体が復刻されたのは感慨深いですね。
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